建設業許可

そろそろ引退をお考えの建設業者の社長さんが引退前にやっておくべき許可の引継ぎの準備

建設業許可
記事内に広告が含まれています。

こんにちは。

“美し国の行政書士”長谷川です。

65歳が近づくにつれ、自分の周りでも「ボチボチ後継者に事業を譲って引退を・・・」という話を建設業者の社長さんから聞くようになりました。

その時、いつも頭に浮かぶのが、「そのとき、ここの会社は建設業許可の要件を満たしているかなぁ」ということです。

建設業許可は、一度取得したら永久に有効なものではなく、5年毎に更新が必要ですし、代表者等に変更が生じた場合には変更届を提出しなければなりません。

その際に、許可要件を満たさなくなった場合には、失効又は取り消しとなってしまいます。

建設業許可においては、社長が交代する場合だと、代表者・役員の変更が、さらに社長が「経営業務の管理責任者(経管)」や「専任技術者」となっている場合には、その変更も必要になります

その場合に注意しなければならないのが、長の引退後、代わりに「経管」や「専任技術者」の要件を満たす者を準備しておかなければならないということです。

そこで今回は、そろそろ事業を譲って引退をとお考えの建設業者の社長さんを対象に、引退前にやっておくべき準備として「経管」の要件について解説します。

建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するもの

建設業許可を取得するための要件の一つとして、「建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するもの」であることが求められます。

そして、「建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有する」と認定されるためには、次の二つの要件を満たさなければなりません。

1.適切な経営能力を有すること

2.適切な社会保険に加入していること

このうち、2の「適切な社会保険の加入要件」は、社長が交代したからといって特に問題とはなりません。

しかし、1の「適切な経営能力」については、社長が「経営業務の管理責任者」となっている場合には、社長が交代することによってその要件を満たさなくなってしまうことがあります。

適切な経営能力を有すること

適正な経営能力の有無の判定は、「建設業の経営業務について一定期間の経験を有する者(経営業務の管理責任者)」がいるかどうかによって判断します。

経営業務の管理責任者となる要件

まず、経営業務の管理責任者となる前提として、法人の場合、会社の常勤役員でなければなりません。

常勤役員等とは、法人にあっては、取締役、業務を執行する社員、執行役(指名委員会設置会社の執行役)、法人格のある組合等の理事等、執行役員等をいいます。

そして、現在の地位が、常勤役員等であって、次のいずれかの経験を有している必要があります。

経営業務の管理責任者としての経験

役員、事業主、令3条使用人で建設業に関し、5年以上経営業務の管理責任者としての経験(建設業の経営業務について総合的に管理した経験)を有する者

⇒ 規則第7条第1号イ(1)に該当

経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者としての経験

執行役員等で建設業に関し、5年以上経営業務を管理した経験を有する者

⇒ 規則第7条第1号イ(2)に該当

経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者としての補佐経験

経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として建設業に関し、6年以上経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者

役員等、営業所長、支店長などの地位に次ぐ職制上の地位にある者で、建設工事の施工に必要な資金の調達、技術者及び技能者の配置、下請業者との契約の締結等の経営業務全般について従事した経験が必要です。

⇒ 規則第7条第1号イ(3)に該当

経営業務の管理体制の要件

常勤役員等の中に上記の経験年数を満たす者がいない場合でも、建設業に関する役員等の経験が2年以上あり、一定の経験がある常勤役員等がいれば、その常勤役員等を直接補佐する者で一定の経験を有する者を配置することで経営業務の管理責任者としての要件を満たすことができます。

常勤役員等とこれを直接補佐する者を置く場合

経営業務の管理体制で経営業務の管理責任者としての要件を満たす場合には、常勤役員等とこれを直接補佐する者がそれぞれ一定の経験を有している必要があります。

常勤役員等に関する経験

(1)建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有し、かつ、5年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者としての経験を有する者

(2)5年以上役員等としての経験を有し、かつ、建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有する者

常勤役員等を直接補佐する者に関する経験

(1)建設業許可等を行う建設業者等において、5年以上建設業の財務管理の業務経験を有する者

(2)建設業許可等を行う建設業者等において、5年以上建設業の労務管理の業務経験を有する者

(3)建設業許可等を行う建設業者等において、5年以上建設業の業務運営の業務経験を有する者

1名がこれらすべての業務経験を有する者であるときは、1名の配置で要件を満たしますが、それぞれの業務経験を有する者が別であれば、3名を配置しなければなりません。

上記の要件を満たす常勤役員等とそれを補佐する者1名以上を置くことにより経営業務の管理責任者としての要件を満たすこととなります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

経管の要件を表にまとめると次のようになります。

現在の地位常勤役員等(取締役・業務を執行する社員・執行役・組合等の理事・執行役員等)
建設業に関する経験役員等の経験準ずる地位の経験経営業務の補佐経験
経験年数5年以上2年以上5年以上6年以上
常勤役員等に関する経験2年以上の建設業に関する役員等経験を含め
5年以上の役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位経験
2年以上の建設業に関する役員等経験

建設業以外の会社での役員等経験
通算5年以上
補佐する者に関する経建設業において
財務管理の業務経験を有する者
労務管理の業務経験を有する者
業務運営の業務経験を有する者
補佐する者に関する経験年数それぞれ5年以上
常勤役員等の区分第7条第1号イ(1)第7条第1号ロ(1)第7条第1号ロ(2)第7条第1号イ(2)第7条第1号イ(3)

安心して引退できる社長さんもいれば、まだまで引退できない社長さんもいるんじゃないかと思います。

いずれにしても、事業を引き継いだ次世代が困らないようにしっかり準備は整えておきましょうね。

ということで、今回はこの辺で

では、また。 See you.

Follow me!

コメント

PAGE TOP