建設業許可

建設業許可を取得した個人事業者の決算変更届

建設業許可

こんにちは。

“美し国の行政書士”長谷川です。

今年も確定申告の時期が近づいてきましたね。

建設業許可を受けて建設業を営む個人事業者の方は、この確定申告が終わると毎年、決算変更届を提出することになります。

ということで、今回は三重県知事の建設業許可を取得している個人事業者の方を対象に、決算変更届の作成のポイントについて説明します。

1. 決算変更届とは

決算変更届とは、許可を取得した後に、工事経歴と財務内容に変更が生じたということで決算期ごとに財務内容や工事実績を記載して許可行政庁に提出する届出書です。

決算変更届は、毎事業年度が終了した後4か月以内に提出しなければなりません。

そのため、個人事業者においては、12月31日が決算日となりますので4か月後の4月30日が決算変更届の提出期限となります。

2. 必要書類

決算変更届に必要な書類としては、法人と個人事業者ではその提出する書類が異なりますが、ここでは三重県知事許可の一般建設業許可を取得した個人事業者の場合について説明します。

提出する書類としては、次のものがあります。

  1. 表紙
  2. 変更届出書(決算用)
  3. 工事経歴書
  4. 直前3年の各事業年度における工事施行金額
  5. 財務諸表等(貸借対照表・損益計算書(個人用))
  6. 納税証明書

ここまでは必須の書類になります。

次に、変更があった場合に提出する書類としては、次のものがあります。

7. 使用人数

8. 令3条に規定する使用人の一覧表

9. 健康保険等の加入状況

提出部数は、正本1部、副本2部の合計3部です。

納税証明書については、原本1部とコピー1部の提出でよくなりました。

2-1. 表紙

表紙については、昨年5月以降の申請・届出から添付が不要になりましたが、この決算変更届だけは経営事項審査の受審の有無により記載内容が異なることから添付が必要です。

2-2. 変更届出書(決算用)

変更届出書(決算用)には、事業年度の期間とこの届出により提出する書類を記載します。

提出する書類としては、個人事業者の場合、(1)工事経歴書(2)工事施行金額(3)貸借対照表及び損益計算書(7)事業税納税証明書があります。

この四つに加えて、変更があった場合に提出する書類として、(8)使用人数(9)令3条に規定する使用人の一覧表(11)健康保険等の加入状況があります。

2-3. 工事経歴書

工事経歴書には、許可を受けた業種ごとに、完成工事の実績を記載します。

注文書や請求書から1年分の完成工事を許可業種別に、そして許可を受けていない業種に係る工事についてはその他工事として区分していく必要があるので手間のかかる作業となります。許可業種の数が多いとそれだけ手間と時間を要します。

この工事経歴書は、「経営事項審査を受審する場合」と「受審しない場合」によって記載方法が異なり、「経営事項審査を受審する場合」はより厳格な記載方法が求められます。

経営事項審査を受審する場合
  1. 先ずは、元請工事に係る完成工事について、金額の大きい順に、元請工事の請負金額の合計額の7割に達するまでの工事を記載します。
  2. 次に1以外の元請工事と下請工事に係る完成工事について、金額の大きい順に、全体の請負金額の合計額の7割に達するまでの工事を記載します。
  3. 残りの工事については、「その他元請工事」「その他下請工事」としてその件数と金額を記載します。
  4. その下に、主な未成工事について記載します。 
経営事項審査を受審しない場合

経審を受審しない場合は、元請工事、下請工事を問わず、請負金額の大きいものから順に1ページに収まる程度に記載します。

書ききれない工事については、「その他工事」として件数と金額を記載します。

2-4. 直前3年の各事業年度における工事施行金額

直前3年分の工事金額を、許可業種別、元請・下請別、元請はさらに公共・民間別に区分してそれぞれの金額を記載します。

いずれの許可業種にも該当しない工事については、「その他の建設工事の施行金額」欄に記載します。

直前3年の各事業年度における工事施行金額の作成のポイント
  1. 許可に係る建設工事の施行金額における業種ごとの合計金額は、「工事経歴書」の合計額と一致させる。
  2. 各業種の計とその他の建設工事の施行金額の計との合計金額は、損益計算書の完成工事高と一致させる。
  3. 実績がない場合であっても「0」を記入する。

2-5. 財務諸表等(貸借対照表・損益計算書(個人用))

財務諸表については、確定申告の決算書を基に転記をしていきますが、作成に当たっては一定のルールに基づいて修正を加える必要があります。

貸借対照表

貸借対照表の各勘定科目の金額の記入にあたっては、千円未満を切り捨てし、千円単位で記入します。

流動資産合計や固定資産合計などの各合計金額は、各勘定科目の金額を円単位で合計した金額を千円未満で切り捨てをした金額になります。そのため、記入した各勘定科目の金額を合計しても合計金額と一致しない場合がありますが、問題ありません。

ただし、合計金額と大きな誤差がある場合は、金額の転記間違いや計算漏れが考えられますので確認が必要です。

損益計算書

損益計算書の各勘定科目の金額の記入にあたっては、貸借対照表と同様に千円未満を切り捨てし、千円単位で記入します。

完成工事総利益、営業利益、事業主利益についても円単位で計算し、千円未満切り捨てた金額を記入します。

損益計算書の作成のポイント

完成工事高の金額は、「直前3年の各事業年度における工事施行金額の合計」と一致させる。

事業主利益の金額は、貸借対照表の事業主利益の金額と一致させる。

2-6. 納税証明書

納税証明書は、「個人事業税」について「納付すべき額及び納付済額」の記載がある直前1年のものを県税事務所で発行を受け、その原本を提出します。

2-7. 使用人数

使用人数に変更があったときは、提出しなければなりません。

注意するところは、日付は決算日にしなければならないという点です。

変更がなければ、提出不要です。

2-8. 令3条に規定する使用人の一覧表

令3条使用人の一覧表に変更があったときは、建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表と建設業法施行令第3条に規定する使用人の住所、生年月日等に関する調書を提出しなければなりません。

変更がなければ、提出不要です。

2-9. 健康保険等の加入状況

健康保険の加入状況(従業員数)に変更があったときは、提出しなければなりません。

変更がなければ、提出不要です。

また、健康保険等加入の記載内容に変更があった場合は、その変更の事実の発生後2週間以内に提出が必要となります。

3. 期限内に提出されない場合

建設業法では、決算変更届を期限内に提出しない場合の罰則規定が定められていまして、それによると「6月以下の懲役又は百万円以下の罰金」となっています。

建設業法違反により罰金以上の刑罰を受けた場合、建設業許可の欠格要件に該当することになるので、許可が取り消されてしまうことになります。さらに、その取消しの日から5年間は許可を取得できなくなるのでその影響は大きいです。

三重県では、期限内に提出しない事業者に対して個別指導を行い、それでも改善されない事業者に対しては、刑罰とは別に建設業法第28条の監督処分(指示処分)を行うことがあります。

4. まとめ

決算変更届の作成で手間と時間がかかるのは、工事経歴書と財務諸表の作成です。

個人事業者においては、確定申告が終わってから4月末までに提出することになります。

結構時間があるようで、時間がなかったりします。

仕事の合間を縫ってご自身で作成するという方もいらっしゃると思いますが、必ず提出期限内に提出するようにしましょう。

作成している時間なんてない!とおっしゃる方は、是非行政書士にご依頼ください。

ということで、今回はこの辺で

では、また。 See you.

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