建設業許可建設キャリアアップシステム

建設業のための外国人技能実習生の受け入れ要件

建設業許可

こんにちは。

“美し国の行政書士”長谷川です。

建設業界においては、人手不足が深刻な問題になっています。

以前、人手が足りなくて外国人技能実習生を雇いたいということで建設業許可の新規申請の依頼を受けたことがありました。

ということで、今回は外国人技能実習生の受け入れをお考えの建設業者の方のために、その受入れの要件について解説します。

1. 外国人技能実習制度とは

外国人技能実習制度とは、開発途上国の外国人が日本の技術・技能や知識を日本の企業で一定期間のOJTを通じて学び、その習得した技能等を開発途上地域へ移転して、母国の発展に生かしてもらうことを目的とした国際貢献のための制度です。

外国人技能実習生の受け入れ方式には、「企業単独型」と「団体監理型」の2種類ありますが、非営利団体である監理団体が技能実習生を受け入れ、その管理団体に加入した企業が技能実習を実施する「団体監理型」をほとんどの企業が採用しています。

そのため、ここでは「団体監理型」の受け入れ要件について解説していきます。

2. 外国人技能実習生を受け入れるための7つの要件

外国人実習生を受け入れるためには、受け入れる企業が次の7つの要件を満たしている必要があります。

2-1 欠格要件に該当していないこと

欠格要件としては、次のものがあります。

1. 関係法律による刑罰を受けたことがある
  • 禁錮以上の刑に処せられた者
  • 技能実習法や入管法、労働関係法令に違反し、罰金刑に処せられた者
  • 暴力団関係法、刑法等に違反し、罰金刑に処せられた者
  • 社会保険各法及び労働保険各法に違反し、罰金刑に処せられた者
2. 技能実習法による処分等を受けたことがある
3. 申請者等の行為能力・役員等の適格性を有していない
  • 行為能力に制限がある者(成年被後見人、被保佐人、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者)
  • 法人の役員、未成年者の法定代理人で欠格事由に該当する者
4. 暴力団排除の観点からの欠格事由

2-2. 監理団体に加入すること

監理団体とは、技能実習生の募集や受け入れまでの手続きから受け入れ後の企業の監査や指導を行う団体です。

技能実習生を受け入れるには、監理団体に加入する必要があります。

2-3. 技能実習責任者・技能実習指導員・生活指導員を配置すること

受け入れ企業には、次の職員を配置しなければなりません。

技能実習責任者

技能実習生の関わる実習指導員・生活指導員の監督や実習の進捗状況を管理する者で、過去3年以内に養成講習を受講している者

実習指導員

技能実習生に業務を教え、技能修得の指導をする者で、5年以上の実務経験を有する者

生活指導員

技能実習生の日本での生活を指導する者

2-4. 技能実習生の住居を確保すること

技能実習生が、安全かつ健康的な生活を確保できる住居を用意しなければなりません。

居住条件としては、一人当たり4.5㎡(約3畳)以上の広さの寝室を確保する必要があります。

部屋に限らず、技能実習生が生活していくうえで必要な冷蔵庫・洗濯機などの家電や生活用品は、受け入れ企業が準備しなければなりません。

2-5. 賃金を同業務に従事している日本人と同額以上に設定すること

技能実習生の賃金は、同じ業務に従事している日本人と同額以上に設定しなければなりません。

実習生だからといって、最低賃金に満たない額の賃金や不当に低い賃金を設定することはできません。

受け入れ企業は、労働関係法令を遵守し、適正な給与を支払うことが求められます。

2-6. 社会保険に加入させること

技能実習生も必要な社会保険に加入させなければなりません。

社会保険の適用事業所(法人及び従業員数5人以上の個人事業所)であれば健康保険及び厚生年金保険に加入させることになります。

技能実習生を受け入れることにより従業員数が5人以上となる個人事業者も同様です。

社会保険の適用事業所でない事業所であっても、国民健康保険及び国民年金には加入させなければなりません。

他にも、雇用保険と労災保険の加入は必須となります。

2-7. 帳簿を作成・保管すること

技能実習生を受け入れる際には、「技能実習日誌」や「認定計画の履行状況に係る管理簿」などの規則で定められている帳簿を作成し、保管しておかなければなりません。

3. 建設業に必要な4つの要件

建設業で外国人技能実習生を受け入れるためには、上記の共通要件に加え建設業に特有の要件があり、それらの要件もクリアする必要があります。

3-1. 建設業許可を受けていること

受け入れ企業が、建設業許可を受けていなければなりません。

ただし、許可を受けた業種と技能実習の職種は必ずしも一致している必要はありません。

3-2. 建設キャリアアップシステムに登録していること

受け入れ企業は、建設キャリアアップシステムに事業者登録していなければなりません。

そして、技能実習生を建設キャリアアップシステムに技能者登録する必要があります。

3-3. 実習生に対し安定的な報酬を支払うこと

季節や工事の受注状況などにより報酬が変動しないように月給制により支払うことが求められます。

企業が雇用している他の従業員が月給制でない場合であっても、技能実習生に対しては月給制により報酬を支払わなければなりません。

ただし、技能実習生の自己都合による欠勤については、報酬額から控除することは問題ありません。

3-4. 技能実習生の数

技能実習生の数が、常勤職員の総数を超えてはいけません。

常勤職員の総数は、雇用保険に加入している社員数で判断します。

4. まとめ

建設業で外国人技能実習生を受け入れるための要件を説明してきましたが、いかがだったでしょうか。

技能実習生を受け入れるには、いくつかの要件をクリアしなければなりません。

監理団体に加入すれば、必要な書類の作成のアドバイスから受け入れに係る手続き、受け入れ後の実習生の生活管理に至るまで監理団体でやってもらえますが、建設業では建設業許可の取得建設キャリアアップシステム登録の要件をクリアしておかなければ、その受け入れ手続きが進んでいかないということです。

あと、監理団体に係る費用や住居の確保に係る費用など技能実習生の受け入れには相当の費用がかかるということもお忘れなく。

ということで、今回はこの辺で

では、また。 See you.

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