相続・遺言

相続人に胎児がいる場合

相続・遺言

こんにちは。

“美し国の行政書士”長谷川です。

今日は暑かったですね。

まだ5月だというのに、全国各地で真夏日となりました。

ということで、今回も相続に関するお話です。

1. 胎児の相続権

胎児の相続権というとピンとこないかもしれませんが、ドラマなんかで、「ご主人が事故や事件に巻き込まれ、或いは病気で亡くなり、奥さんのお腹の中には既にそのご主人の子がいた」という話がありますが、そういった場合に、まだ生まれていない胎児が、亡くなったご主人の財産を相続できるのかという話なります。

人が相続するには、権利能力が必要となりますが、その権利能力について民法では次のように規定されています。

私権の享有は、出生に始まる。

民法第3条第1項

つまり、人は生まれた瞬間から権利能力を有するということになる。

すると、胎児はまだ生まれていないから、相続できないということになります。

しかし、相続に関して胎児は、次のように規定されています。

胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。

民法886条第1項

前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。

民法第886条第2項

本来であれば、胎児に権利能力は認められていませんが、相続については例外として認められています。

ただし、生きて生まれてくることが前提となります。

2. 特別代理人

胎児に相続権があると言っても、胎児自らが遺産分割協議に参加し、署名捺印することはできないですよね。

というか、そもそも未成年者は遺産分割協議に参加することができません。

このような場合は、胎児の親権者である母親が、法定代理人となって遺産分割協議に参加することになります。

例えば、ご主人とご主人の親が、事故により同時に死亡した場合において、ご主人の親の財産を相続するときは、ご主人が既に死亡しているので、ご主人の代襲相続人として胎児が相続人となります。

このような場合には、胎児の母親が、法定代理人となって遺産分割協議に参加することができます。

しかし、母親もまた相続人である場合には、母親の利益と胎児の利益が対立することになってしまいます。

つまり、母親の利益は、胎児の不利益となってしまいます。このようなお互いの利益が相反する行為を利益相反行為といいます。

利益相反行為となる場合には、母親は代理人となることはできませんので、このような場合には、子のために特別代理人を選任することとなります。

特別代理人の選任は、親権者又は利害関係人が、叔父や叔母など利害関係のない親族を候補として選任し、家庭裁判所へ必要な書類を添付して申請します。

候補がいない場合は、家庭裁判所が選任してくれます。

この特別代理人は、相続人の中に胎児を含む未成年者がいる場合のほか、認知症などにより判断能力が不十分な方がいる場合にも選任されるケースがあります。

3. 遺産分割協議の時期

相続人に胎児がいる場合の遺産分割協議については、まだ生まれていない状態でもすることができます。

ただし、胎児が生きて生まれてくることが前提ですので、もしも、生まれてくるまでに死亡した場合には、遺産分割協議は無効になってしまいます。

遺産分割協議は、胎児が生まれてから行う方が無難でしょう。

相続人を確定するために、相続関係者の戸籍謄本等を収集しても胎児の存在は現れてきません。

しかも、相続人を欠く遺産分割協議は無効となってしまいますので、先ずは胎児にも相続権があるということを知っておくことが重要です。

ということで、今回はこの辺で

では、また。 See you.

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