こんにちは。
“美し国の行政書士”長谷川です。
前回は、経審を受審するためには、まず経営状況分析を行い、経営状況分析結果通知書を取得する必要があることを説明してきましたが、今回は経営規模等評価申請と総合評定値請求について説明していきたいと思います。
経営規模等とは
公共工事の発注機関が、競争入札に参加しようとする建設業者の資格審査をするにあたり、客観的事項と主観的事項を審査し、ランク付けを行います。
その客観的事項のうち、「経営状況」を除いた事項が「経営規模等」になります。
具体的には、「経営規模」、「技術力」、「その他の審査項目(社会性等)」から構成されています。
経営規模等の審査項目
経営規模等の評価は、次の項目により行います。
【経営規模に関する項目】
1. 業種別年間平均完成工事高評点(X1)
直近決算2年分の業種別年間平均工事高による評価。直近決算3年分の方が有利な場合は、3年平均を選択することができます。
《積み上げ》
許可を受けている専門工事業種のうち、一定の業種については、経審を受けない業種の完成工事高を経審を受ける業種の完成工事高に含めて申請することができます。
2. 自己資本額・利益額評点(X2)
① 直近決算(基準決算)における純資産額による評価。直近決算2年分の方が有利な場合は、2年平均を選択することができます。
② 直近決算2年分の平均利益額(営業利益+減価償却実施額)による評価。
【技術力に関する項目】
3. 業種別技術職員数・業種別元請完工高評点(Z)
① 許可を受けた業種別に、1級技術者、2級技術者、基幹技術者等の技術職員数による評価。
② 業種別の年間平均元請完成工事高による評価。1の「業種別年間平均完成工事高」で2年平均を選択した場合は、2年平均、3年平均を選択した場合は、3年平均となります。
【その他の審査項目】
4. その他の審査項目(W)
① 労働福祉の状況
雇用保険、健康保険、厚生年金保険、建設業退職金共済制度等への加入状況による評価。
② 建設業の営業継続の状況
営業年数による評価。建設業許可を受けて営業していた年数。
③ 防災活動への貢献の状況
国、特殊法人等又は地方公共団体と締結している防災協定で一定の要件を満たすものがあると加点。
④ 法令遵守の状況
審査対象年度において、建設業法等に違反する行為により指示をされ、又は営業の停止を命ぜられたことがある場合は減点。
⑤ 建設業の経理の状況
監査の受審状況や公認会計士等、二級登録経理士の人数による評価。
⑥ 研究開発の状況
監査の受審状況において、会計監査人を設置しているときは、研究開発費の2期平均を加点評価。
⑦ 建設機械の保有状況
ショベル系掘削機やブルドーザー等の建設機械を所有又は一定のリース契約を締結している場合は加点。
⑧ ISOの取得状況
国際標準化機構が定めるISO9001、ISO14001の登録がある場合は加点。
⑨ 若年の技術者及び技術労働者の育成及び確保の状況
技術職員数のうち、35歳未満の若年技術職員数が一定の割合以上である場合、基準年度において新規に技術職員となった若年技術職員数が一定割合以上である場合は加点。
経営規模等評価申請及び総合評定値請求
申請手続については、各都道府県により異なりますので、ここでは三重県の場合について説明します。
三重県の場合、経営事項審査の日程と審査会場が定められており、申込期限までに予約をしての受審となります。
審査では、持参した申請書の記載内容について確認資料等でのチェックが行われますので、審査会場へは、申請書の記載内容に関して審査員の求めに対応できる申請者本人又は従業員、代理申請の場合は、申請者から委任を受けた行政書士が出席しなければなりません。
経営規模等評価申請と総合評定値請求は、一つの申請書において同時に行うことができるので、通常は両方申請することとなります。
総合評定値は、経営状況評点と経営規模等の評点から次のように求められます。
総合評定値=0.25×(X1)+0.15×(X2)+0.2×(Y)+0.25×(Z)+0.15×(W)
審査が終了すると、約2か月程度で「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」が送付されます。
経営事項審査の有効期間
経審の有効期間は、その申請の直前の事業年度終了の日(審査基準日)から1年7か月です。
毎年、公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者は、毎年事業年度終了後4か月以内に提出する建設業許可の決算変更届のタイミングに合わせて経審の申請をすることをお勧めします。
ということで、今回は以上です。
では、また。 See you.
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