こんにちは。
“美し国の行政書士”長谷川です。
暑かった8月も終わり、今日からは、暑い9月の始まりです!
前回の解体工事業者登録に続き、今回は解体工事を行うには産廃業許可もいるのか?とお悩みの方に、解体工事と産業廃棄物収集運搬業許可との関係について説明します。
1. 産業廃棄物収集運搬業許可とは
解体工事を行うと産業廃棄物が出ますよね。
その現場で出た産業廃棄物を処分するのに産業廃棄物収集運搬業許可はいるのか?というお話です。
まずは、産業廃棄物収集運搬業許可がどういうものなのかを説明する必要があります。
産業廃棄物収集運搬業許可とは、事業活動によって発生した廃棄物を排出事業者から委託を受けて、収集・運搬することを業とする事業者に必要な許可のことです。
2. 産業廃棄物は誰が処分する?
産業廃棄物は、排出事業者が自らの責任において適切に処理しなければなりません。
自分が出したゴミは、自分で責任もって処理をするというのが原則です。
排出事業者自らが処理するか、自分で処理できなければ、許可を受けた産廃業者に処理を委託することになります。
無許可の業者に処理を委託してしまった場合、無許可で営業した業者だけでなく、委託した排出事業者も罰則を受けることになります。
3. 解体工事で出る産廃の排出事業者は?
工場から排出された廃棄物の排出事業者は、その工場を経営する事業者だとわかりやすいですが、これが建設現場だと一体誰が排出事業者なのかわかりにくいですよね。
建設工事においては、工事に伴い発生した廃棄物は、その工事の注文者から直接請け負った事業者、つまり元請業者が排出事業者になります。
例として「空き家の持ち主が、空き家の解体を解体工事業者に直接発注する場合」と「空き家の持ち主が、ハウスメーカーに建替え新築を発注する場合」について説明しますと
「空き家の持ち主が、空き家の解体を解体工事業者に直接発注する場合」は、空き家の持ち主が注文者で、注文者から直接工事を請負った解体工事業者が排出事業者になります。
一方「ハウスメーカーに建替え新築を発注する場合」には、注文者は空き家の持ち主で変わりませんが、ハウスメーカーが元請業者となり、排出事業者になります。
ハウスメーカーが、新築に伴う解体工事を下請けとなる解体工事業者に発注する場合は、その解体工事から発生した廃棄物は、ハウスメーカーの廃棄物になります。
このように、解体事業者が、同じ解体工事をする場合であっても、元請けか下請けかによって排出事業者は異なります。
4. 解体工事業で産廃許可は必要?
解体工事業者は、産廃業許可が必要かといえば、答えは「NO!」です。
解体工事業者だから産廃業許可が必要なわけではありません。
解体工事を元請けとして請け負う場合は、自らが排出事業者となるので、自ら中間処理施設へ収集・運搬するには許可は不要です。
下請けとして解体工事を請け負う場合は、解体工事から発生した廃棄物であっても、解体業者自らが勝手に処分するわけにはいきません。
なぜなら、排出事業者である元請業者の廃棄物だからです。
元請業者は、排出事業者として自らの責任において適切に処分しなければなりません。
自ら処分するか、許可を受けた産廃業者に委託するかです。
この場合に、解体工事業者が産廃業許可を持っていれば、委託を受けて処分することができます。
5. 産業廃棄物収集運搬業許可を取得するメリット
解体工事業者に産廃業許可は必須ではありません。
しかし、許可を持っているといろいろメリットがあります。
産廃業許可を取得するためにはいくつかの要件をクリアする必要があるので、「許可を持っている」ということで、注文者や元請業者に対して安心感を与えることができます。
財務的に健全である
許可を取得・更新する際には経営状況を確認されます。赤字が続いている事業者で基準を満たしていない事業者は許可が取得できないし、5年毎の更新もできません。
したがって、許可を取得・更新できている事業者は、ある程度経営が安定している事業者であると判断できます。
暴力団関係者がいない
許可の要件として、「事業者の役員に暴力団関係者がいないこと」というのがありますので、許可を取得している事業者には暴力団関係者がいない可能性が高いと思われます。
自社で運搬車両や施設を備えている
許可を取得するには、産業廃棄物の種類・量に応じた運搬車両や施設を備えていなければならないので、この要件をクリアしているということは、不法投棄などの不適切な処理をすることはないと考えられます。
排出事業者は、最終処分場で処分が完了するまで廃棄物について責任を負いますので、排出事業者の立場からすれば、信頼できる解体工事業者に工事を依頼したいと考えるのは当然ですよね。
6. まとめ
解体工事業者にとって産廃業許可は必須ではない。
しかし、下請けとして解体工事を請け負う場合には、産廃業許可を持っていることで元請業者からの信用が得られ、取引の幅が広がることが期待できる。
ということで、今回はこの辺で
では、また。 See you.
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