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育成就労制度とは

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こんにちは。

“美し国の行政書士”長谷川です。

2024年3月15日に閣議決定され、外国人技能実習制度に代わり創設されることとなった育成就労制度。

現在、技能実習生を受け入れている事業者やこれから実習生の受入れを考えている企業にとってはとても気になりますよね。

そこで今回は、現段階で公表されている内容になってしまいますが、育成就労制度の内容と外国人技能実習制度との違いについて解説します。

育成就労制度とは?

開発途上国などの外国人に対して、日本の技術・技能や知識を日本の企業で一定期間のOJTを通じて学び、その習得した技能等を開発途上地域へ移転して、母国の発展に活かしてもらおうという国際貢献を目的とした外国人技能実習制度に代わり創設されるのが育成就労制度です。

外国人技能実習制度は、人材育成を通じた国際貢献がその目的ですが、その実態は外国人の受け入れ企業が人材不足を補うための労働力として雇用しているケースが殆どで、失踪や不法就労トラブルが多発するなど社会的な問題になっているのが現状です。

日本では、特定の業種においては慢性的な人材不足に悩まされているのが現状で、育成就労制度ではそんな技能実習制度における外国人の雇用の実態に即した形に変更がなされ、人材確保と人材育成がその目的となります。

育成就労制度は、改正法の公布の日から3年以内に施行されますので、2027年までに施行されることとなります。それに伴い、外国人技能実習制度は廃止されます。

育成就労制度では、国際貢献から人材確保へと目的が変わることにより様々な取り扱いが変更されます。

技能実習制度との違いは?

項  目技能実習制度育成就労制度
目的国際貢献人材確保・人材育成
受入れ分野・職種産業分野を特定せず、90種類165作業特定技能と同一の16分野?
在留期間1号~3号で最長5年間3年間
転籍原則不可要件を満たせば可能
日本語能力の要件介護職以外は要件なし就労開始前までに、日本語能力試験N5レベルの能力が必要
受入れ企業の負担外国人が負担していた手数料等を部分的に受入れ企業が負担する

受入の対象となる分野・職種

現行の技能実習制度では、産業分野を特定せず、90職種165作業が実習可能となっています。(令和5年10月31日時点)

育成就労制度では、特定技能1号の技能水準を有する人材を育成することを目的とするため、受入れ対象となる分野も特定技能と同一の分野に限定されることになります。ただし、国内における就労を通した人材育成になじまない分野については受入れの対象外となります。

受入れ対象となる16分野?

特定技能の受入対象分野として既存の12分野に、令和6年3月29日に閣議決定された4分野(自動車運送業分野、鉄道分野、林業分野、木材産業分野)を加えた16分野が受け入れ対象となりました。

ただし、育成就労制度の導入に併せた分野追加等は、別途検討予定ということです。

  1. 介護分野
  2. ビルクリーニング分野
  3. 工業製品製造業分野
  4. 建設分野
  5. 船舶・舶用工業分野
  6. 自動車整備分野
  7. 航空分野
  8. 宿泊分野
  9. 農業分野
  10. 漁業分野
  11. 飲食料品製造業分野
  12. 外食業分野
  13. 自動車運送業分野
  14. 鉄道分野
  15. 林業分野
  16. 木材産業分野

素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野は、工業製品製造業分野に分野名が変わり、工業製品製造業、造船・舶用工業、飲食料品製造業の分野において新たな業務が追加されます。

参考:特定技能制度の対象分野の追加(令和6年3月29日閣議決定)出入国在留管理庁

在留期間

技能実習制度では、技能実習1号で1年、2号で2年、3号で2年、最長で5年間就労することができます。

育成就労制度では、基本的に3年間で、育成就労期間終了後において一定の要件を満たした場合は、特定技能1号へ移行することができます。

さらには、一定の試験に合格することで特定技能2号へ移行することができ、家族を帯同しての永住も可能となります。

転籍

原稿の技能実習制度では、原則転籍は認められていません。ただし、「やむを得ない事情がある場合」に限って転籍が認められています。

育成就労制度では、この「やむを得ない事情」の範囲が拡大され、柔軟化された手続きにより転籍が可能となります。

転籍の要件
  1. 同一業務区分内での本人の意向による転籍であること
  2. 同一の受入れ機関での就労期間が、分野ごとに設定される期間(1年~2年)を超えていること
  3. 技能検定試験基礎級等及び一定水準以上の日本語能力に係る試験に合格していること
  4. 転籍先が、適切と認められる一定の要件を満たしていること

参考:改正法の概要(育成就労制度の創設等)厚生労働省 

日本語能力の要件

技能実習制度では、介護職種のみ入国時に日本語能力検定N4レベルの日本語能力の要件がありますが、他の職種に関しては要件はありません。

育成就労制度では、日本語能力に関して次の要件を満たしていること求められます。

  1. 就労開始前までに、日本語能力試験N5合格又は相当する日本語講習を受講しておくことが要件となります。
  2. 特定技能1号に移行するとき、日本語能力検定N4合格又は相当講習の受講が必要
  3. 特定技能2号に移行するとき、日本語能力検定N3合格が必要

受入れ機関の負担

技能実習制度では、日本で技能実習を受けるにあたり、外国人が本国の送出し機関に高額の手数料等を支払っていました。

育成就労制度では、その手数料等を受入れ機関と外国人が適切に分担するための仕組みを導入し、外国人の負担を軽減が図られます。

受入れ機関にとっては、その分負担が増加することになります。

技能実習生はどうなってしまうのか?

育成就労制度が施行された場合、その時点で受け入れている技能実習生はどうなってしまうのか?

これについては、3年間の移行期間を設けることになります。

移行期間中は、現行の技能実習制度を並行して残し、所定の実習期間を終えるまで在留が認められることとなります。

まとめ

日本の人材不足は深刻な状況になっています。

日本に限らず、近隣の台湾や韓国なども同様に人材が不足しており、外国人材の獲得競争はますます激化するものと思われます。

そんな中、日本が魅力ある働き先として「外国人から選ばれる国」になるための制度として創設される育成就労制度。

育成就労制度では、外国人の転籍が可能となることから、受入れ企業にとっても魅力ある働き先として選ばれることが求められるようになります。

ということで、今回はこの辺で

では、また。 See you.

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