建設業許可

住宅建設瑕疵担保保証金の供託等の届出等とは

建設業許可

こんにちは。

“美し国の行政書士”長谷川です。

今回は、建設業許可を取得していて、新築住宅を手掛けている事業者の方が提出しなければならない届出として「住宅建設瑕疵担保保証金の供託等の届出等」について解説します。

1. 住宅建設瑕疵担保保証金の供託等の届出等とは

住宅の主要構造部分等に欠陥があった場合に、その住宅の売り主の瑕疵担保責任の履行を確保するため、新築住宅の請負い・引き渡しを行った建設業者と新築住宅の販売・引き渡しを行った宅建業者には、瑕疵担保責任保険の加入又は瑕疵担保保証金の供託が義務付けられています。

住宅建設瑕疵担保保証金の供託等の届出等とは、毎年3月31日を基準日として、基準日前10年間建設業者及び宅建業者が引き渡しを行った新築住宅に関する保険や供託の状況についての届出で、基準日から3週間以内に提出する必要があります

基準日前10年間に新築住宅の引渡しを行った建設業者と宅建業者が届出の対象になりますので、基準日前1年間に新築住宅の引渡しが無かったとしても届出を提出しなければなりません。

建設業者とは、建設業許可を受けて建設業を営む者のことをいいますので、建設業許可を受けていない事業者については届出の義務はありません。

2. 特定住宅建設瑕疵担保責任とは

特定住宅建設瑕疵担保責任とは、住宅を新築する建設工事の請負契約において、請負人が注文者にその新築住宅を引き渡したときから10年間、新築住宅の請負人はその住宅の瑕疵について民法に規定する担保責任を負うこととなります。

住宅の瑕疵とは

住宅の瑕疵とは、住宅のうち構造耐力上主要な部分又は雨水の侵入を防止する部分として政令で定めるものの瑕疵(欠陥)のことをいいます。

構造耐力上主要な部分

構造耐力上主要な部分とは、「住宅の品質確保の促進等に関する法律施行令」第5条1項で次のように定められています。

住宅の基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材、その他これらに類するものをいう。)、床版、屋根版又は横架材(はり、けた、その他これらに類するものをいう。)で住宅の自重若しくは積載荷重、積雪、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の振動若しくは衝撃を支えるもの

雨水の侵入を防止する部分

雨水の侵入を防止する部分とは、「住宅の品質確保の促進等に関する法律施行令」第5条2項で次のように定められています。

  1. 住宅の屋根若しくは外壁又はこれらの開口部に設ける戸、わくその他の建具
  2. 雨水を排除するため住宅に設ける排水管のうち、その住宅の屋根若しくは外壁の内部又は屋内にある部分

民法に規定する「瑕疵担保責任」

2020年4月の民法改正により、「瑕疵」という文言は改められ「契約の内容に適合しないもの」となりました。

これに伴い、「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」に変わりました。

住宅の請負契約における「契約不適合責任」とは、引き渡された住宅が種類、品質、又は数量に関して契約の内容に適合しない場合の責任をいいます。

この場合、注文者は請負人に対し次の対応をとることができます。

  1. 住宅の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完請求
  2. 注文者が相当の期間を定めて、追完請求したにもかかわらず追完の履行がないときは、注文者はその不適合の程度に応じた代金の減額請求
  3. 債務不履行による損害賠償請求及び契約解除

ただし、注文者がその不適合を知った時から1年以内にその不適合を請負人に通知しないときは、契約不適合による追完請求、代金減額請求、損害賠償請求及び契約解除をすることができなくなります。

3. 住宅建設瑕疵担保責任保険契約

住宅建設瑕疵担保責任保険契約とは、国土交通大臣の指定を受けた「住宅瑕疵担保責任保険法人」が提供する次の内容を満たす保険契約をいいます。

  1. 建設業者が保険料を負担すること
  2. 特定住宅建設瑕疵担保責任に規定する瑕疵がある場合、建設業者がその責任を履行したときに、建設業者の請求に基づき損害を填補すること
  3. 建設業者が相当の期間を経過しても責任を履行しないときに、建設工事の発注者の請求に基づき、その瑕疵によって生じた損害を填補すること
  4. 損害を填補するための保険金額が2千万円以上であること
  5. 新築住宅の引渡しを受けた時から10年以上の期間にわたり有効であること
  6. 国土交通大臣の承認を受けた場合を除き、変更又は解除ができないこと
  7. 保険請求する建設業者及び発注者の利益保護のため必要なものとして国土交通省令で定める基準に適合すること

4. 住宅建設瑕疵担保保証金の供託

  1. 建設業者は毎年、基準日(3月31日)から3週間を経過する日までの間において、その基準日前10年間に発注者に引き渡した新築住宅について、瑕疵担保責任の履行を確保するため、住宅建設瑕疵担保保証金の供託をしていなければなりません(住宅建設瑕疵担保責任保険契約を締結したものを除く)。
  2. 保証金の額は、基準日における10年間の新築住宅(住宅建設瑕疵担保責任保険契約を締結したものを除く)の合計戸数を基礎として政令で定めるところにより算定する額以上でなければなりません。
  3. 供託は、建設業者の主たる事務所の最寄りの供託所にします。

新築住宅の合計戸数に応じた供託金額は次の表のとおりです。

供給戸数の区分供託金額
1戸以下2,000万円
1戸超~10戸以下200万円 × 戸数 + 1,800万円
10戸超~50戸以下80万円 × 戸数 + 3,000万円
50戸超~100戸以下60万円 × 戸数 + 4,000万円
100戸超~500戸以下10万円 × 戸数 + 9,000万円
500戸超~1,000戸以下8万円 × 戸数 + 1億円
1,000戸超~5,000戸以下4万円 × 戸数 + 1億4,000万円
5,000戸超~10,000戸以下2万円 × 戸数 + 2億4,000万円
10,000戸超~20,000戸以下1.9万円 × 戸数 + 2億5,000万円
20,000戸超~30,000戸以下1.8万円 × 戸数 + 2億7,000万円
30,000戸超~40,000戸以下1.7万円 × 戸数 + 3億円
40,000戸超~50,000戸以下1.6万円 × 戸数 + 3億4,000万円
50,000戸超~100,000戸以下1.5万円 × 戸数 + 3億9,000万円
100,000万戸超~200,000万戸以下1.4万円 × 戸数 + 4億9,000万円
200,000万戸超~300,000万戸以下1.3万円 × 戸数 + 6億9,000万円
300,000万戸超1.2万円 × 戸数 + 9億9,000万円

5. まとめ

新築住宅の引渡しを行った場合、瑕疵担保責任保険の加入又は瑕疵担保保証金の供託を行わなければならないだけではなく、毎年保険や供託の状況についての届出を行うことが義務付けられています。

届出を行わない場合や保険の加入、保証金の供託を行っていない場合は、新たに新築住宅の請負・売買ができなくなり、監督処分や罰則が適用されることになりますのでご注意ください。

ということで、今回はこの辺で

では、また。 See you.

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